Web制作の依頼を受けたときの担当者の頭の中

「ホームページを作ってください!」
こんなご依頼を受けたとき、ご発注される方の要望を汲み取り、サイト制作を実現させるために、Web制作の担当者の頭の中では様々なことが駆け巡り始めます。
たった一言の「作ってください」から、意外と膨大なことを考えるんです。
制作のご依頼の際、ご発注される方は「なんでこんなに時間がかかるの?」「なんでこんな料金なの?」といった具合で疑問に思われることもあるかもしれませんが、制作する人がどんなことを考えて進めていくかをちょっとでも知っていただけることでご納得いただけるのではないかなと思い、この記事を書き起こしてみました。
それでは早速、Webサイトの制作を行う人がご依頼を受けた際に考えていることを見ていきましょう!

このサイト制作の目的は?
Webサイトには必ず何かしらの目的があって存在します。
「サービスを世の中のたくさんの人に知ってほしい。」「商品を買ってほしい。」「イベントの告知をしたい。」「情報を発信したい。」といった具合です。
サイト訪問者数を増やすこと、発信した記事を読んでもらうこと、興味を持ってもらいお店に足を運んでもらうこと、お店にお問い合わせや予約の電話をかけてもらうこと、イベントに申し込んでもらうこと、商品の購入など成約につなげること、などなど。どのようにWebサイトを作れば目的を達成することができるのかを考えるのが、実はデザインする上で一番重要な部分なのです。
「サイト制作」=「デザイン」=「設計」と言葉を置き換えても良いでしょう。
制作前の段階でサイトの目的に応じてどのように設計するかによって、出来上がったサイトがただ単純にWeb上に存在するだけのページになるのか、それとも収益をしっかり生み出すことに繋げるものになるのかの大きな差が生じます。
Webサイト制作のご依頼をされる際に、企画・提案の料金が含まれているのはこういう理由です。
集客するターゲットは?
サイトの目的が設定されたら、どのような層の人にそのサイトを見てもらいたいかが自ずとはっきりとしてきます。
若い女性に見てもらいたいのか?高齢者向けなのか?小さな子供を持つ親の世代が対象なのか?
サイトを訪問してもらいたい相手に応じて、デザインや文章の内容は異なってきます。
年配の方へ向けて情報を発信したいのに、字が小さくて読みにくいと、それだけで内容を読んでもらえなくなりますよね。
男性が対象なのに、ピンクが基調のカラーだと、恥ずかしくなってページを閉じられてしまうかもしれません。
サイトへ集客したい層に対して適切なデザインをサイト制作する側は考えないといけません。
集客の流入元は?
サイトを訪問する人は、どのような経路をたどってサイトを閲覧するのでしょうか?
まずはGoogleで検索してからという場合が挙げられますね。
もしくはFacebookやTwitterなどのSNSでシェアされている投稿からサイトを訪れてくれるかもしれません。
いつもサイトをチェックしてくれる人であれば、ブラウザのお気に入り機能に登録してくれていることだってあります。
広告に出稿してサイトを知ってもらうこともできるし、あるいは、渡した名刺に書いてあるホームページURLを打ち込んでサイトを訪れてくれることも。
パソコンで見ているのか、それともスマートフォンを使って見ているのか。時間帯はお昼休憩の時に見られることが多いのか、それとも夜のプライベートなゆっくりした時間によく見られるのか。
サイトを制作する側は、閲覧する人のあらゆるシーンを想定する必要もあります。
サイト訪問者のニーズは?
サイト制作の目的は商品の購入であっても、サイト訪問者はその商品の使い方や故障のお問い合わせ先の情報を探しているのかもしれません。
しかし、たとえ本来達成させたい目的以外の人がサイトを訪問した場合でも、そこからサービス内容や新商品を知ってもらうこともあります。
どういったサイト内容でどんなキーワードが必要になるのかは、サイト訪問者のニーズによっても決まってきます。
サイトの構成は?
目的に合ったWebサイトの構成にして、どんな導線を作れば成果を上げることができるのか?
そのためにはサイトの中にどんな機能が必要になるか?お問い合わせフォームや地図、ブログなどを設置するべきなのか?
ページ数は1ページで良いのか、それとも複数のページが必要になるのか?
ページごとの関連付けはどうすれば良いのか?
ページの中でどんなレイアウトにすれば読みやすいか?
こういったことを考えながら、デザインカンプの骨組みを作っていきます。
サイトのデザインは?
サイトの目的・集客するターゲット・流入元・ニーズ・構成が明確になったら、ようやくデザインに落とし込む段階です。
デザインをする際は、サイトの効果を上げるために、視覚的にどのように訴えれば良いかを考えます。
全体のイメージを決めるカラー、目を引く画像、見出しや本文の文字の大きさ、クリックするボタンの位置と形状、ボタンがボタンである・リンクがリンクであるということが誰にでもわかりやすいデザインになっているかなど。
場合によっては、デザインにどのような動きを付けるかということも考える要素として入ってきます。
デザインをWeb上に表示させる方法は?
デザインカンプというのはあくまで絵にすぎません。作成されたデザインをインターネット上に公開するためには、プログラミング言語などを使ってコードを記述する必要があります。これでようやくただの絵だったものに動きがついたりクリックできたりするようになるのです。
このデザインをWebページとして反映させる作業をコーディングと呼びますが、コーディングの記述方法にもある程度の制約があり、その制約の中でどうやってデザインを実現させるか、どうやったらプログラムがエラーを出さずに動くようになるか、似たようなコードを書く必要が出たときにどうやって破綻なく再利用させるかなど、複雑なことを考えながら作業を進めてサイトを完成させます。
サイトの運用は?
Webサイトが完成したあとも、作りっぱなしでは意味がありません。本当にそのサイトが目的を達成しているかどうかは実際に運用して初めてわかることです。
最初に想定していたターゲットやニーズが実は違ったり、デザインの段階では良いと思った構成がうまく機能していなかったりする場合もあります。
あるいは、運用後にサイトの目的が変わってくることもあります。
ブログ機能をつけたのに、運用する側の人の時間がなくて全然更新されないパターンもよくある話です。
「お問い合わせフォームは要らないと思ったけど、やっぱり必要になった」「新しくバナーを設置してほしい」「この商品は販売終了になったからページを削除してほしい」etc…
そうしたときにもスムーズに変更に対応できるよう、デザインやコーディングの段階である程度想定しておくことも大事です。

いかがでしょうか?
「ほんのちょっとしたサイト」を作るのにも、サイトを制作する側は実に色々なことを考えているものです。
これだけでも、サイト制作が単純にパパッと出来るものではないということがご理解いただけたのではないでしょうか。
「サイト制作なんて簡単ですよ、すぐに出来ますよ」と言って、見た目がただカッコいいだけのサイトを作ることは出来ますが、果たしてそれで本当にそのサイトを作る意味があるかどうかは疑問です。。。

もしも「ホームページを作ってほしい」とお考えの場合は、サイトの目的やどのようにしたら最大限の成果を得られるかまでを一緒に考えられるパートナーとして制作者選びをご検討ください。そうして作られたWebサイトは、きっとユーザーの目にも魅力的なものに仕上がることでしょう。